株式会社川﨑構造設計 便り

福岡市南区の構造設計一級建築士事務所のブログです。

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地震災害による構造関係規定の変遷について(鉄骨造)

こんにちは。スタッフの福島です。

地震災害による構造関係規定の変遷について、鉄骨造のみに焦点を絞り、
簡単にまとめました。



■1995年 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) 最大震度7
 柱の座屈 柱の破断
 柱頭接合部の破断 梁下端接合部の破断
 ブレースの破断 ブレースの端部破断
 露出柱脚のアンカーボルト引抜け 破断

1995 年 建設省住指発第176号 
①冷間成形角形鋼管の品質確保
 冷間成形角形鋼管を使用する場合には、(財)日本建築センターによる「冷間成形角形鋼管
 評価基準」を参考として、設計又は工事監理者による品質検査がなされたもの、
  (財)日本建築センターの審査を受けたもの又は生産・流通関係者による品質保証のな
  されたものを使用すること
②溶接部の品質確保
 溶接部が構造耐力上の弱点とならず適正な施工及び検査が行われるように「鉄骨造建
 築物等の品質適正化について」(平成4年9月30日付建設省住指発第349号)の記よ
 り、原則として、3階以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡を超える建築物に
 について、施工状況報告書の提出を求めること

1995年 建築物の耐震改修の促進に関する法律制定
 1981年5月31日以前の特定用途で大規模な建物の耐震診断の努力義務化

2000年 建築基準法改正
 柱脚の種類、寸法、形状等の技術基準の明確化
 鋼材の溶接等の接合部の技術基準の明確化



建設省住指発第176号とは、国土交通省住宅局建築指導課課長が1995年に176番目に発出した通達です。通達とは、上級行政庁(国土交通省)が下級行政庁(特定行政庁)に送られる命令や定めのことで、国民には法的拘束力はないようですが、特定行政庁はこの通達に拘束されます。
 ※特定行政庁とは、建築主事がいる市町村および特別区の長、建築主事がいない市町村および特別区では、都道府県知事をいう。また、市町村の建築指導課などに建築主事がいればその市町村は特定行政庁となり,建築主事がいなければ都道府県の関係事務所が特定行政庁となる。

RCで法改正のきっかけとなった、1968年十勝沖地震や1978年宮城県沖地震でも鉄骨造の被害はありました。阪神淡路大震災での被害と同様に、柱の座屈、筋交いの座屈や接合部の破断、水平ブレースの破断、日の字型柱の接合部被害、柱脚被害などの被害です。1978年1月の伊豆大島地震での鉄骨造被害より前までの地震では鉄骨造建物が多い地域での被害がたまたま少なく、法改正には至らなかったようです。
今年起きた熊本地震では、阪神淡路大震災と同様の被害が生じ、柱梁接合部パネルとダイアフラム間の溶接破断で層崩壊している建物もありました。
柱梁接合部は、多くの溶接により熱影響が生じ、もろくなりやすいです。入熱量やパス間温度の管理が非常に重要となります。
鋼材はねばりのある部材でありますが、柱梁接合部や柱と接合部パネルの設計不良や施工不良で層崩壊する可能性があり、非常にもろい建物になるということです。接合部の設計もさることながら施工と監理が極めて重要であることがわかります。

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